琵琶法師

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なんというわけもなく

細く長く肉づいた指に、丸く光る爪が好きだった。ちょっと羨ましいのにも似ていた。でも、嫉妬とかそういうものは湧いてこなくて、わきあがるのは存在への感動みたいなものだった。
ギャルゲーとかの触れられたら柔らかそうな、甘い匂いのしそうな…、手が、私にはない。コンプレックスではない。自分の手の良さはわからないけれども、「良いと思う手」がほしかったとも思わない。ただ、友達が本当に理想的な手をしていた時、「あー、本当にいるんだ」と思った。すごいなあと思う反面で、たぶん、少し悲しかった。この感情は、舞台の上に立つ同級生がやけにキラキラしていたときと同じ。彼女たちが近くを通った時に見る肌の綺麗さとか、髪のしなやかさとか、たぶん本人は気付いてもいないだろうところの女性性を見るたび、無性に虚しかった。
私は女性ホルモンのはたらきが悪い。こどもも望んだ時に産めるかわからない。足や脇は男性毛で、排卵も生理も不定期、肌も乾燥している。だから、たぶん手も女っぽくない。でも「そういう人」が妬ましいかと言われれば、たぶん違う。そう考えるのは人を傷つけるのが嫌だからかもしれない。でも、それだとあんまりしっくりこない。
つまるところ、私にはどうしてもほしいものがないのかもしれないと思う。たぶんどこかで悔しがるのすらバカらしいとか思っている。もしかしたら究極にプライドを守る考え方なのかもしれない。ほしいものが手に入らなくて地団駄を踏むのは格好悪い。泣くのはみじめ。そもそも自分が手に入れられると思ってる時点で…。
それでも、私は私で良いと揺るぎなく思えるのが、唯一の幸いだと思う。どのようなことでも我慢がきくのはそれに尽きるとすら思う。まあでも結局、やっぱ羨ましいよなあっていう。それだけの話。
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